BRICSはG7と対峙するような第2勢力になり得るのか

長い期間、世界を牛耳ってきたのはアメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、日本で構成されるG7です。

この7ヵ国が世界経済の方向づけと意思決定を握ってきました。

しかし、BRICS諸国が急速な経済成長と発展を遂げるにつれ、その影響力が高まっています。

ここでは、BRICSが将来的にG7に対抗する勢力となり得るのか考察してみました。

●BRICSの経済力と方向性

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BRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国から成る組織です。

発足当初から、世界的な経済・政治プレイヤーとして注目されてきました。

特に全体の経済力としては、中国とインドが突出しており、他の3ヵ国を牽引する形で現在すでにG7に比肩する規模となっています。

一方で、G7との対比についてはいくつかの観点で考慮する必要があるでしょう。

●●経済力

BRICSは2024年現在において)、世界のGDPの約32.1%を占めており、G7の29.9%を上回っています。

ただし、BRICS内の各国の成長ペースは異なっているのは周知の事実です。

一部の国(南アフリカ、ブラジル、ロシア)は期待されたほどの力を発揮できていません。

中国の目覚ましい経済成長は、世界の貿易、投資、サプライチェーンを再構築しています。

中国の卓越した製造能力、巨大な消費市場、イノベーションによる成長は、中国を世界経済のトップランナーへと押し上げてきました。

インドはまだ少し遅れているものの、その膨大な人口とハイテク産業は、世界第2の経済大国になるのに十分な可能性を秘めています。

2024年から2025年にかけてGDPで日本を抜くという観測も出ており、日本はドイツに抜かれたばかりかインドにも抜かれることはほぼ間違いありません。

一方で、ロシア、ブラジル、南アフリカは期待を下回っているのが現状です。

世界のGDP(購買力平価)に占める割合は過去20年間で減少し続けているのです。

特にロシアの場合は軍事以外の製造業がふるわず、資源に頼っている国であり、ウクライナ問題も内包し、経済成長が臨めません。

ブラジルは南米の大国で、化石燃料や人的資源に恵まれていますがそれらを活かしきれていません。

南アフリカは、資源の国として知られていますが、すべてにおいて他の4ヵ国には見劣りしており、劇的な経済成長は臨めない状況といっていいでしょう。

それでも、これらの3カ国は期待されたほどの力を発揮できていないにもかかわらず、BRICS5ヵ国の合計GDPは2020年にG7を上回りました。

IMFによれば、BRICS5カ国の合計GDPは今年、世界のGDPの32.1%を占めるということです。

これは1995年の16.9%から上昇し、G7の29.9% を上回っているのです。

●●方向性と一致

BRICSの問題点として大きく指摘を受けているのがそれぞれの国の方向性です。

政治体制や経済体制、米国に対するスタンス、根本的なイデオロギーなどで加盟国間に大きな違いがあるのです。

これまで一致した意思決定には至っていないため、BRICSとしての体裁が取れていますが、組織としての一体性がG7には及ばないのです。

BRICSは現状でも世界のGDPの4分の1以上、世界人口の約42%を占めています。

「表面的な数値」上は極めて大きな存在感をもっているといっていいでしょう。

しかしBRICSはこれまで、その「表面的な数値」が示すほど大きな成功や実績をあげたことはありません。

BRICS自体に一貫したビジョンがないためです。

政治体制や経済体制、米国に対するスタンスや根本的なイデオロギーの点でも加盟国間には大きな違いがあるため、組織としての一致した意思決定には至ってこなかったからです。

近々の話題ではウクライナ問題があげられますが、表だったロシア非難はBRICS内で起きておりませんが、インドは明らかに反対の位置づけであり、ブラジルと南アフリカは日和見的な立場といっていいでしょう。

いずれにしても強固な関係でなく、これから拡大BRICSとしてもさらに方向性がバラバラです。

中国の存在感が大きいのは間違いなく、中国経済の減退が叫ばれているなか、不安定要素は今後も増していくことが予想されています。

●●新興国としての位置づけ

BRICSは「新興国」の体裁を整える一方で、G7は長い歴史を持つ組織です。

BRICSは伸びしろがあり、将来的には(総合的に)G7を追い抜く可能性もあると言われています。

しかし、一体性や統一された意思決定が難しい側面もあります。

総じて、BRICSは拡大傾向にあり、中国やロシアはそれを成果として誇っていますが、G7に匹敵するような影響力を持つ未来は想像しにくいと言えます。

●加盟国拡大

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2024年1月から、サウジアラビア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)、エチオピア、エジプトの5カ国がBRICSに新たに加盟し、10カ国体制となりました。

さらに、約40カ国が加盟を希望しているとされています。

BRICSを構成するブラジルとロシア、インド、中国、南アフリカは、当初アルゼンチンを合わせた6ヵ国を新たな加盟国として迎え入れると発表していました。

しかし、2023年12月に就任したアルゼンチンのミレイ大統領は前任者の加盟申請を撤回し、同国は加盟しないことを決定したのです。

ロシアのラブロフ外相は今週、BRICSとの関係構築を望む国は約30カ国あると述べたと、国営タス通信が報じました。

いずれにしても、加盟希望数の数値が常に変動しているので正確な数値かどうか疑わしい点があるのが正直なところです。

いずれの国も国益最優先なので、BRICSに吸引力がなければ加盟機能国数も減っていくことでしょう。

●BRICS首脳会議

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2023年8月に南アフリカ共和国で第15回BRICS首脳会議が開催されています。

グローバルサウスの国々が集まり、加盟国拡大などについて議論されました。

BRICS拡大は、欧米主導で進んできた世界秩序が崩れ始め多極化する実相が浮かび上がります。

しかし、新たなグローバルガバナンスの枠組みとしてどこまで機能するかは未知数といっていいでしょう。

中心を担う中国、ロシア、インドの3国の思惑はそれぞれ異なり、また新加盟のサウジアラビアとイランも中東地域の長年のライバル国同士です。

拡大BRICSが何を目指すのか、世界の不安定が増す恐れもあります。

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